コロナワクチンに酸化グラフェンが含まれているというのはデマ?

医療

インターネット上に、「新型コロナワクチンの成分に毒性の強い酸化グラフェンという物質が含まれている」というウソかホントか分からない情報や動画が乱れ飛んでいます。


そもそも、酸化グラフェンとは何でしょうか?

酸化グラフェンとはグラファイト(黒鉛)を酸化させて得られるもので、その抗菌効果と抗ウイルス効果により、マスクやエアコンのフィルターの材料として、その他多くの産業での利用が期待されている褐色の物質です。
熊本大学産業ナノマテリアル研究所は、新型コロナウイルスを酸化グラフェンでほぼ完全に除去できることを確認しています。

出典:
日刊工業新聞「酸化グラフェン 新型コロナ除去 ~熊本大・分泌液で確認」
http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~hayami/nikkan2020.pdf
JIJI.COM「新型コロナウィルスは酸化グラフェンでほぼ撃退することができる!?」
https://newswitch.jp/p/24626

これらの記事は新型コロナ対策に酸化グラフェンが有効かもしれないという内容になっていますが、ただし繊維素材の材料として利用されるものであり、ワクチンに混ぜるようなものではないように思います。
もし新型コロナワクチンの中に酸化グラフェンが含まれているとするならば、その目的はワクチンへの細菌侵入を予防するための防腐剤として微量添付させているということしか考えられません。

しかし、アメリカのロイターの記事ではこれを完全否定しています。
https://www.reuters.com/article/factcheck-grapheneoxide-vaccine-idUSL1N2OZ14F

一般的にワクチンに添付される防腐剤はチメロサールです。
チメロサールとはエチル水銀のことで、水俣病の原因としても知られるメチル水銀とは別物です。
含まれる量もごくわずかなので、ワクチンに含まれているエチル水銀による健康被害はほぼ心配ないとされています。

ネットでよく拡散されている意見は、「人口削減計画」という悪意ある陰謀目的で新型コロナワクチンに酸化グラフェンを大量に含ませているのだという主張です。
スペインの某研究所で成分分析をしてそのような悪事を突きとめたとか、アメリカの元ファイザー社員が暴露したとか、その情報の出所についての情報がまちまちです。

ひとつ言えることは、ワクチンに悪意があることを彼らが科学的な検証を元に確信しているのならば、政府や製薬会社に対して意見書を送ったり、殺人罪として警察に届け出るのが通常の手続きです。
それをせずにまずネットで情報拡散するというのは、彼らはいったい何を意図しているのでしょうか。

人口削減計画とは、世界人口が増え続けると石油資源が枯渇したり食糧不足になったりというリスクがあるので、世界を支配しているロスチャイルドやロックフェラー勢力が強制的に人口を減らすために人々に毒を盛っているのだという都市伝説です。
食糧不足になると人々が飢えて死んでしまうので、その前に殺してしまおうという矛盾に満ちた陰謀論です。

今から50年以上も前の段階では、確かに人口爆発による石油の枯渇と食糧不足が起きる可能性について議論されていたことがあり、そのために中国では一人っ子政策が実施されました。
しかし、現在では石油の埋蔵量はその当時の想像よりもはるかに多かったことが判明しており、さらにSDGsの中で脱石油の流れが起きています。
食糧にしても、現在の先進国の食糧生産技術は向上しており食糧不足の心配はほぼありません。ただ食糧供給の偏りが問題になっているだけです。
そして、先進国では少子化が進み人口減少に転じています。
ましてやロスチャイルドやロックフェラーといった超富裕層が、食糧の心配をする必要があるでしょうか。


さらに言うと、ロスチャイルドやロックフェラーにとって、人口が増えて経済が活性化し、多くの人々が大量消費することこそが自分たちの利益が増える方程式になります。
それは製薬会社にとっても同様です。
世界的な人口減少は、彼ら権力者層にとって命取りの深刻な問題になってしまうのです。

以上の考察により、ワクチンに人口削減計画が絡んでいるという噂話はフェイク(デマ)の可能性が高いという結論になります。

以下は、投資系の某コミュニティ内にこの都市伝説が投稿されて炎上した時にレスがついていたコメントの一部です。

「コロナワクチンに酸化グラフェンは入ってません。」(製薬会社勤務)
「医師ですが、そういうデマはやめませんか?」(眼科医)
「こういう投稿は全力で否定します」(内科医)
「悪意ある最悪の投稿。新型コロナワクチンは核酸、脂質、タンパク質、緩衝液。」(生物学研究者)
「副反応は完全に否定できないので、それをいいことに、いろんな記事を書いている人がいる。」(薬剤師)
「鼻でわらっちゃいます。グラフェンは黒色の物体。水溶液なら黒色になります。無色透明なワクチンのどこに入ってるというんですか?」(職業不明)
「私は、ワクチン接種している患者さんの方が、重症化率がとても低いと日々感じています。」(医療関係者)
「こういうフェイクニュースに踊らされて、家族が崩壊しているニュースが多くみられます。」(公務員)


かといって、ワクチンに限らず薬全般には副反応は付きものであり、自分の体質を考えながら判断すべきでしょう。
とくに新型コロナワクチンは国内で正規の治験手続きを踏まずに突貫工事で承認されたという問題があるので、安全性が確認されたわけではありません。

厚労省は、アストラゼネカ社のワクチンで稀に血栓症が起きることがあることを認めています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0077.html

血栓は高脂血症で血液がドロドロ状態の人に起きやすい症状なので、年齢を問わず日常生活で油っこいものやジャンクフードをよく食べるような人は気を付けるべきではないかと思います。
現代人はその生活習慣から、昔の人たちと比べて薬害に弱い体質になっているのではないでしょうか。
なおかつ、今はコロナ自粛ムードで運動不足が起きているので、血栓症リスクは高まっているものと思われます。


(やしろたかひろ)