武田邦彦コラム

日本人が牛乳を飲むことについて

牛乳の毒性が言われるようになってきて、これが精神病のきっかけになるし、骨も損失するということで、子供に牛乳を飲ませることは減らしたほうが良いのではないかと思うお母さんたちが増えてきました。

人間の体というのは非常に複雑で、600万年ぐらい前に人間が誕生し、非常に長い期間を使って人間の体というものは出来ています。
人間の祖先がサルなので、木に登って果物ばかり食べているうちに、人間の体の中でビタミンCが合成できなくなりました。人間が果物を食べなければいけないというのは、我々の祖先がサルであるという証明なのです。
世界を大きく分けると、麦と肉と乳を食べる地域と、魚と米と沢庵みたいなものを食べる地域とに二つに分けられます。日本人はやはり、魚と米と沢庵なのです。
日本人は野菜の葉物をあまり食べない。菜種油もあまり摂らない。これをおそらく最低でも3万年ぐらいやってきています。

例えば、日本人の4割が生まれつきアルコールを分解する酵素を持っていません。そのうち2割ぐらいは後天的に獲得することが出来るので、最終的にお酒を飲めない人は5人に1人ぐらいになるのですが、これは世界的に見ると特異なことです。
お米が取れて魚が豊富にある地域といったら、日本や、インドネシア、フィリピンなどしかない。
中国は大陸なので羊も飼いますし豚なんかも食べるので、日本人の体とは相当構造が違います。
ですから、日本人の基本的な組み立ては日本食にあるのです。

牛乳の中にはカルシウムが非常に多いのですが、ここが問題なのですね。
日本人は、小魚のカルシウム程度で骨を作るようになっているのです。ところが、牛乳を飲むとそこからカルシウムが大量にドカッと入ってきます。
体はカルシウムが過剰になるとそれを対外に排出しようとします。その時に、ついでに骨も削ってしまうのです。ですから、カルシウムを取るために牛乳を飲むというのは日本人には必要の無いことなのです。

従来は、牛乳の中に入っているタンパク質で日本人が咀嚼できないものがあるので腹を壊しますという程度に軽く考えられていたのですが、最近では、どうもその一部が脳に行って鬱病などの原因になるのではないかと疑われてきています。
したがって、これから研究が進んでいってはっきりするまでは、子供さんなどは特にあまり牛乳をガブガブ飲むということはやめたほうがいいと思います。

ただし、牛乳は毒性が強いから飲むなということは科学者としては言いにくい。そこまでははっきりしていないのです。現状で言えることは、かなり危なそうだ、ぐらいです。
日本人と牛乳については、これから本格的な研究が必要だと思います。

(2017.08.11 武田邦彦) プロフィール