紅子の疑問。大麻は結局、麻薬なんでしょ?
大麻の実や茎から、食品や衣類を作る原料がとれることはわかりました。
でも、大麻に麻薬成分が含まれてるのは間違いないことでしょう?【紅子】
大麻はヘンプとも呼ばれ、大麻に含まれている薬効成分のことをカンナビノイドと言うんだ。その中で、これまで麻薬だと言われてきたのはTHCと呼ばれる成分だ。それらは主に花穂と葉に含まれている。
THCを体内に摂取するとお酒を摂取した時のような陶酔感が起こるので、昔、そのことを短絡的に考えた人たちが大麻を麻薬扱いにしてしまったんだね。
しかし、一方で大麻の作用については今から40年以上も前に世界保健機構が世界的な専門家たちを集めて検討会を開き、その成果としてこんな内容の報告書を公表しているんだ。
★大麻を常用しても禁断症状は起こらない。
★常用者の大麻依存の程度を見てもコーヒーや煙草、酒、菓子などと同程度である。
★大麻使用による奇形の発生はない。
世界保健機構(WHO)作成のレポートによる(1970年)
また、1994年にはアメリカ国立薬物研究所によってこんな比較表も公表されているよ。【麻男】
種 類 | 依存性 | 禁断性 | 耐 性 | 切望感 | 陶酔性 |
---|---|---|---|---|---|
ニコチン | 6 | 4 | 5 | 3 | 2 |
ヘロイン | 5 | 5 | 6 | 5 | 5 |
コカイン | 4 | 3 | 3 | 6 | 4 |
アルコール | 3 | 6 | 4 | 4 | 6 |
カフェイン | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
大麻 | 1 | 1 | 1 | 2 | 3 |
アメリカ国立薬物研究所による麻薬と嗜好品の比較表(1994年)
えーっ? この比較表を見ると、大麻よりもコーヒーのほうが中毒を起こしやすいっていうことになりますね!驚きました!
もし大麻が麻薬なら、お酒やタバコはそれ以上の危険な麻薬だということになってしまいますね。
でも、大麻にはお酒ほどではないにしても酔っぱらってしまう作用があるようなので、摂取したら酔い覚めするまでは車を運転しないほうがいいかもですね。
大麻を使用すると、それが飛び石になってコカインやヘロインといった有害なドラッグの使用に移っていくと言う人もいる。
しかし、ドラッグをやる人はお酒やタバコやコーヒーもやるんじゃないかな。
だから大麻がドラック使用への入口になるという考え方も偏っているんだ。
そういえば、危険ドラッグを使用して精神錯乱して車を暴走させたり人を殺してしまったというニュース報道はたくさん見ましたが、大麻ではそういう話を聞いたことがないですね。
大麻の所持で逮捕される人はたくさんいるのに不思議ですよね。
大麻にはほとんど害が無いということは、だんだんわかってきました。
でも、害が無いからと言って、大麻をあえて体の中に摂取する必要性も無いんじゃないかなあ?
日本で大麻所持で検挙されている人は毎年2000人以上もいるんだよ。しかし大麻で精神錯乱という事件は聞いたことないよね。
実は、海外での最近の研究で、大麻に含まれるカンナビノイドには人間の様々な病気を治療する効果があるということが分かってきたんだ。
例えば、大麻が、がん細胞の成長を抑制したり転移を妨げることが欧米の複数の研究機関から発表されている。また、ノーベル賞受賞者を16人も輩出したアメリカのソーク研究所は、大麻は認知症治療に有効だと発表している。それ以外にも、遺伝病など様々な難病治療に大麻が役立つとする研究結果がたくさんあるんだ。
なるほどー。
大麻は色々な病気の治療に役立つのですね。
でも、海外へ行くと病気でもない人がマリファナの煙を吸引していることがよくありますよね。
あれは良くないんじゃないかなー?
君は、マリファナは良くなくてタバコなら良いと考えているのかな。イメージ的な先入観がまだあるようだね。もちろん日本では違法だから厳禁だけどね。
大麻の販売が国家によって容認されているオランダではコーヒーショップと呼ばれている店がたくさんあって、そこでは普通の人が嗜好用の大麻をイートインすることができるんだ。
そのオランダは近年、犯罪率が減少していて刑務所の数を減らしているんだよ。大麻が犯罪を減らしているのかどうかは分からないが、少なくとも大麻が暴力や犯罪を増やすことは無いということになるね。
そういう国では大麻を吸って、うつ病や不眠症が改善したという事例がたくさんある。
向精神薬や睡眠薬が体に良くないことは知ってるよね。
そういう薬を飲むことと、自然の植物で癒すことと、どちらが体に良いと思う?
あ、わかってきました。
カモミールやラベンダーのように大麻はハーブなんですね。薬草だけど嗜好用にも楽しむことができる植物。
ハーブはお茶でいただく場合もあるし、お香として使用する場合もありますね。
大麻はハーブの王様みたいな感じなんでしょうかね。
畑に行って直接嗅ぐとよく分かるが、大麻は他のハーブに負けないほど良い香りを放っている植物なんだよ。
スーパーや専門店へ行けばハーブティーが手軽に購入できちゃうから、きちんと勉強している人は少ないと思うが、どの種類のハーブでも認識しておかなければいけないことがあるんだ。
それは、ハーブは医薬品ではないが、用法を守って使用することで人の健康に役立つということ。
例えばカモミールは薬と併用してはいけないし、アロエやバジルは妊娠中に使用しないほうが良いと言われている。ペパーミントやバジルは子供には使用しないほうが良いと言われている。大麻のカンナビノイドも妊婦や子供には使用しない方が良いと言われているよ。過剰摂取もしてはいけないね。それぞれのハーブの特徴を理解することが大切だね。
正しく使用すれば、大麻は他のハーブ以上に大きな健康増進効果が期待できる。
大麻は
ハーブの正しい知識で使用するものなのですね。
今そういうわけで、海外の国々では大麻草の栽培と使用がどんどん解禁されてきているんだけど、日本では大麻を所持してはならないとする法律がまだ生きている。
大麻草の実は栄養バランスの良いナッツや食用油になるし、茎から取る繊維は丈夫で吸湿速乾性に優れた衣服をつくる糸やバイオプラスチックの原料になるんだ。
様々な産業分野での活用が期待できる大麻草の栽培が盛んになれば、日本の農業や経済が活性化することにもなるのだけれど、大麻取締法が規制を作っているからそういう可能性が妨げられているんだよね。
ヘンプオイルで車を走らせている人たちがいることは知っています。
化学繊維もプラスチックも元は石油なのですよね。日本は石油がとれないのだから、そういうものをもっと活用しなければいけないですね。
そればかりか大麻で人がどんどん健康になるなんて、やはり神様からの贈り物のような植物なのですね。
よくわかりました。
ありがとうございました。
日本では大麻草の所持は法律により禁止されています。
この記事は海外における事例を参考にまとめたものであり、国内で使用を推奨するためのものではありません。