武田邦彦コラム

日本人がどういう民族なのかについて確認し合おう

日本の高校で、生まれつき茶色い髪の毛をしている女子生徒が、黒く染めることを強要されて訴訟になっているらしいです。
髪は生まれたままの状態にしておいて決して染めないこと、という規則にしておけば良かったのですが、これには日本人の白人に対するコンプレックスがあると思います。

アメリカではアメリカ人の女性が和服を着ると差別だと言われるのです。和服を着るのは日本人をバカにしてるからだと言うのです。
それはなぜかというと、日本人は劣る民族だという意識が先にあり、劣る民族の真似をするのは、劣る民族をあざけ笑うためだというわけです。
こういうことは日本にもありました。「黒んぼ」という言い方があります。黒人の少年の話を描いた漫画が、差別だと言われて出版できなくなりました。それは、私たち日本人の中に黒人を蔑視する心があるからです。
青い目をした人形の歌は差別だと言われないのに、黒人の漫画を描くと差別だと言われるのです。

私に言わせれば、日本人よりアメリカ人のほうがずっと野蛮ですよ。
江戸の末期から明治にかけて様々な欧米人が書いた記述の中にあります。日本の男性は女性が着替えている時に絶対のぞき見をしない、宿の女中さんはチップを受け取らない、渡り船の船頭さんは相手が外人だからといって渡り賃をごまかしたりしない、お金をはだかで置いておいても取られることがない、・・・こういうふうに欧米人が日本に来て、最初は日本人は刀を差していたり、身なりが貧弱だったりしたので文明がひとつ下のように見えたけれども、しばらく滞在してみるとどうも日本人の方が優れていると言っているのです。

最近、セキュリティチェックとかいって、ビルにカードを入れて入っていくようなシステムになっているところが多いですが、そんな社会を作っちゃいけないんですね。
岐阜とか長野の奥へ入っていって非常に文化香るところでは、現在でも鍵なんてかけませんよ。
発展が遅れていると言われているところでは鍵がいらなくて、最も発展していると言われている東京の丸の内では鍵だらけ。
ということは、実は東京は文明が進歩していないということです。東京が一番野蛮ですね。金の亡者の集まりです。文明が栄えていたら犯罪も少なくなければいけないし、鍵なんてかける必要の無い街を作っていかなければならないわけです。

日本人は昔、野球をする時にはそれに魂をかけて野球道と言っていました。それが、南海の監督が「グランドにはゼニが埋まっているから掘り起こせ」と言ってからプロ野球はお金にまみれて、トレードに何億円も掛けるとその選手は立派な人のように見える、というふうに非常に曲がってきましたね。
人生はお金のためにやるのではなく人生を人生のためにやって、ついでにお金をもらうというのが日本式でした。

旅館の女中さんが精魂を込めてお客さんにサービスをする、そうすると外人が感激してチップを渡そうとするが断る。疲れた旅人が来たら疲れを癒すようにもてなす。
ところが、アメリカ式のホテルは誰が来ても「いらっしゃいませ、ごゆっくり」と同じパターンで、全然ゆっくりという感じが出ません。

やはり、日本人というのがどういう民族なのかということを、日本人同士で確認し合わなければいけないと思います。

(2017.10.30 武田邦彦) プロフィール