武田邦彦コラム

人々が麻薬を必要とする理由、そして大麻について

武田邦彦

人々が麻薬が吸いたくなったのは、ヨーロッパで現代都市が出来てからです。
現代都市がなぜ麻薬を必要とするかと言うと、ストレスが強いからです。
中国は、清の時代にストレスが増えてきてアヘンが流行しました。
中国から日本へアヘンが入ってきても、日本人はアヘンを吸いませんでした。

麻薬が必要とされるのは人間社会が歪んだからなのですね。
やはり、いじめだったり、建物が四角だったり、共存型の社会ではなくて所有型の社会だったり、そういうことがあると人間は麻薬を必要とするのです。芸能界も非常にバランスの崩れた社会です。
麻薬は人間社会の歪みをよく表わす指標なのです。ですから、むしろ麻薬を追放するのではなく、社会の歪を直した方が良いというのが私の考えです。

私は今、大麻の本を書いているのですが、そこでは日本文化と大麻というものを非常に多く取り扱っています。
もともと日本で「麻」と言われていたのはほとんど「大麻」でした。
日本には、大麻を吸うという文化はありませんでした。
主な用途は、例えば赤ちゃんの産着(うぶぎ)、下駄の鼻緒など日常的な用途でした。
大麻は育ちが良く、日本の気候に合っていて、4月頃植えると7月には人の背丈よりも高くなって、根が張っていないので抜きやすく収穫するのが非常に簡単です。
大麻の実は七味唐辛子の中に入っていますし、茎は丈夫で長い繊維なので神事にもよく使われていて、例えば注連縄とかほとんど大麻でした。
「麻生」という苗字は、大麻が生えていたところという意味です。「大麻町」というのも結構あります。
「麻薬」は昔は「痲薬」と書いていました。「痲」は「しびれる」という意味です。「麻」という字は雁垂れに「林」と書きます。これは植物の名前です。

今の日本人のほとんどは大麻が麻薬の一種であると考えていますが、大麻について大掛かりな医学の研究委員会が過去に3回行われています。
1回目はイギリスで19世紀、20世紀に入ってラガーディア委員会があり、さらにニクソン大統領が大麻を取り締まろうとして行ったニクソン委員会がありました。その後、WHOなど公的機関がやって、実はいずれも大麻の麻薬性はお酒の6分の1ぐらいだという結論が出ているのです。
私たちが日常的に使っているものの中で一番麻薬性が強いのはお酒です。それからタバコ、コーヒーなどです。
現代の社会ですから、せめて科学的にやったらどうでしょうか。
大麻が麻薬性が強いということを一度でも学問的にはっきりしたら私も意見を変えるのですが、一度も学問的にそのような結論が出ていないのです。

(2019.4.23 武田邦彦) プロフィール


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