武田邦彦コラム

生物学的に正常な男女の関係とは

イザナギ・イザナミ

約12億年前に両性生殖が出来て、雌が卵を産み、雄が精子を供給するというシステムが出来ましたが、これは哺乳動物とそれ以外の動物とで違います。

卵を産む動物は、雌が卵を産むと雌と雄とが一緒に卵を温め保育します。
しかし、人間もそうですが、哺乳動物では、雌はおなかの中で卵を育てるとともに、産んでからお乳をやるという二つの義務があります。
そのため、男女の役割の分化が進んで、男は外で狩りをしたり敵と戦ったりするようになりました。

鳥は一夫一妻制だと言われていますが、夫婦で温めている卵の77パーセントは雌の浮気によって出来た他の雄の卵です。
鳥は人間とは違い雌に意思がなければ精液を受け入れる扉が開かないようになっているので、意図的にセックスをしているわけです。

哺乳動物の場合は、相手に迫るのは必ず雄で、雌がそれを拒否することが出来るというシステムになっています。
雄が迫るという原理は、日本においては古事記にはっきりと書いてあります。

イザナギ、イザナミが日本を産むときに、最初は女神のイザナミが積極的に迫って、男神のイザナキがそれに応じて子供を二人産むのですが、変な子供が出来てしまいます。
そこで、大神様にお伺いを立てると、男のほうから迫まる仕組みでなければダメなのだと言われ、三人目からは今までのやり方をやめて、イザナギが迫ってイザナミが受けるという形にしたのです。
そしたら、アマテラスやスサノオといった良い子供が出来て、それが天皇まで繋がって日本は万々歳になったというわけです。

日本にはもうひとつ、素晴らしい生物学の知識があります。
それは、天皇陛下が男系男子相続であるということです。

女性は生活全体を担っていますから、お父さんとお母さんの遺伝子を全部引き受けます。
ところが、男性はお父さんからしか引き継がないY遺伝子というのを持っています。
だから、女の子のほうが健康で風邪もひかないし、無駄なことはしません。男は酒を飲むし、戦争をするし・・・、男性には欠陥があるわけですが、これは仕方がないのです。

天皇は国民の代表ですから、平清盛や織田信長のように権力のある人が出てきても、力が強いから、腕力が強いからという理由ではY遺伝子が違うので天皇にはなれない、という特殊な制度を日本は作ったのです。
これによって天皇家の相続というのは完璧になりました。神武天皇と現在の天皇は、同じY遺伝子を持っておられます。

私は、古事記の時代に、このように物凄く深い叡智を持った日本のシステムを作った人はいったい誰なのだろうか、と思うのです。

(2019.3.16 武田邦彦)プロフィール