武田邦彦コラム

人生100年時代の到来。第二の人生をどう生きるべきか?

家族

私たちの社会に大きな変革が訪れようとしています。

日本では二年後ぐらいに50歳以下の女性と50歳以上の女性の数が等しくなります。
人間以外の動物の雌は基本的に子供を産めなくなると間もなく寿命を迎えますが、人間の女性は閉経しても更年期障害を乗り越えて長寿を保つわけです。

もうひとつは、50歳に達した人の余命が50年になります。
ということは、第一の人生と第二の人生の期間が同じになるということです。
平均寿命が70歳の時の定年はだいたい55歳で、平均寿命が80歳になると定年は65歳ぐらい。つまり、第二の人生は仕事をやめてから15年だったのです。
そうする第二の人生で趣味をしたり、旅行をしたり、ひなたぼっこをしたりするわけです。
しかし、第二の人生が50年にもなると旅行とひなたぼっこでは時間潰しが出来ないわけですから、新たに第二の人生の設計というのが必要になります。

約12億年間、すべての生物には第一の人生しかありませんでした。
例えば、戦いに敗れた雄や、生理が終わった雌は、群れには自分がもう必要ないという立場を理解して静かに草むらに横たわったり、サケは子供を産んだあと夫婦そろって安らかに死んだりします。
人間も今から100年前の日本人の平均寿命は43歳で、50歳を超えたのが1948年だったので、それまではほとんどの人は第一の人生しかありませんでした。

第一の人生についてはお釈迦様やキリストなどが宗教的に解明し、ソクラテスやヘーゲルなどが哲学的に考え、トルストイなどの文学者が文学的な表現で解明してきましたので、私たちが第一の人生を考えるのは非常に容易です。
生まれてから成長するまでは勉強し、20歳になったら就職して自立し、結婚して子供をつくり、子供を育てる。30歳で子供をつくると50歳で成人する。できれば社会的にも認知されるようになって50歳を迎えたい。
ところが、第二の人生では何をするのかと言われると戸惑ってしまうわけです。
子供を産み育てるといった主たる柱がなくなってしまうわけですから、新しい概念がどうしても必要になるわけです。

私たちは50年の第二の人生をどう生きるべきか?
この課題を年金問題などで矮小化するのではなく、第二の人生の宗教、哲学、文学、社会体制、科学・・・そういうものを私たちは今から全力で構築していかなければならないと思うのです。

(2018.10.18 武田邦彦)プロフィール